虚像を愛する

だいたい寝言

就職活動中にもアイドルを。

初めに断っておく。

本記事は「就活とジャニヲタを両立するには!」などといったお役立ち情報を提供する記事ではない。ただ一つ伝えることができるとすれば、「就職活動とオタク活動は十分に両立可能である」ということである。心配は無用だ。

 

ただ申し訳ない。私がここに記すのは、ただただ一オタクである私の思い出だ。

「就職活動」という、私の人生においては重要な時期に、やはり力をくれたのはアイドルであり、ジャニーズであり、平野紫耀くんだった。

 

私は、来年度の3月に現在在籍している大学を卒業する。

そのあとの進路決定のため、今年の3月から就職活動に勤しんでいた。いや、実際には昨年夏のインターン選考から始まっていたと言っていいであろう。

人とコミュニケーションを取ること自体は、特に苦手というわけではないはずだった。

しかし、正直自分には全く自信がなく、インターンは選考過程で全て落とされてしまった。

友人たちはどんどんと駒を進めていく中で、自分だけ取り残されている感覚に焦った。そして、王道なのだろうと考えていた道に対して、疑念を抱くようになった。一方で、周囲からの評価や自身の妙なプライドがその道から逸れることを阻んだ。

そんな時、Mr.KINGが久しぶりのオリジナルソングを披露した。

それがあの、"Alright"だった。

なんでもできそうで、誰からも羨まれるような立場にいるように感じられる平野くんが、こうして歌い始めるのだ。

気持ちが焦るほどうまくいかないことだらけ

 

It's gonna be alrihgt. なるようになるさ。無理に変わらなくたっていい。

Going my way 目の前の今をそっと抱きしめてみよう。なくしてしまわないように。 

 そして、「変わらなくてもいいよ」「目の前にある幸せを大切にしよう」と歌ってくれるのだ。

沁みた。

当時は、ジャニーズJr.祭りがあってJr.内グループが横並びにして比較され、「Mr.KINGの強みとは?」と問われる機会が増えた。突出した特徴があるわけではない自分たちが、先輩Jr.たちも多くいる中で先頭に立って歌わされることに対して、3人ともに思うことがあったのだろうと推察する。

こちらとしては、「強みはそのバランスだよ、均衡のとれた王道アイドルとして進んでいるんだから自信を持って!」と声を大にして伝えたかったが、本人としては確固たる特徴を提示できないことに不安を感じていたのではないか、と思う。

そんな最中に披露された分、Alrightの歌詞は尚更沁みた。

そして私は勝手に、自身を重ねた。

焦ることはない、就職活動は競争ではなく、「お見合い」だ。

自分にあった、自分らしい、ありのままの自分と働こうと言ってくれる場に行くことが、長い目で見たときに私自身の幸せになるのだ、と。

 

そして私は、周囲の同級生とは少し違った就職活動を行う決心をした。

その道は、もしかすると無謀かもしれず、かつ始めるには平均よりかなり遅いようであった。

試験に合格する必要がある。勉強が必要だった。

 

一方で、平野くんの状況も秋を超えても変化はなく、帝国劇場では「実質平野紫耀主演」と言われるまでの活躍を見せながらも、やはりお知らせの兆しはなく、こちらの焦りも募るばかりであった。

 

そして、2018年に突入する。

 

私はというと、決意を固めてから様々なご縁が転がり込むようになった。無謀かに思われた道も、少し現実的に見えてきた。

両親に素直に意向を伝えたところ、快諾し金銭的にも絶えず援助をしてくれるようになった。結果がどうであれ、支えていただいた皆様には感謝しかない。

実を結ぶ保証は正直なかったが、ただただ己の力を信じて目の前の課題に取り組んだ。

もちろん、チケットが手元に舞い込んだ帝国劇場には足を運んだ。しかし、公演間の時間にも勉強に勤しんだ。自身の未来は自身にかかっている。

 

そんな時、1月17日。

 

時が来た。

 

平野くんたちの、King & Prince の、デビューが決まった。

 

グッと屈み込み、力をいっぱいに溜め込んだ彼らは、大きく羽ばたくこととなった。

 

嬉しかった。苦悩の日々を思い、こみ上げるものがあった。

 

そして、自分も頑張らないと、と。

 

デビュー日の4日後に本試験が控えていた。

正直「デビュー日にイベントをされても身動きは取れないな…」と思った。

デビュー時のお祝いに行けないかもしれない、と自身の運命を呪った。一方で、自身の将来選択のタイミングが時短と重なったことは、ある意味運命的だななどとも感じた。

 

さらには、平野くんは初主演映画公開やドラマ出演も決まっていた。

就職活動が本格化する1週間前に、完成披露試写会に行くことができた。

これが就活前最後の遠征になるな、と思った。

奇しくもそれ以降は、イベント等を通じて彼らが「東京だけ」で行うイベントはほとんどなかった。(あるとしても、少人数すぎていける人の方が稀であった)

 

そして、デビュー日が近づく中、花晴れ放送が始まった。

事前の番宣番組などを通じて彼は、遺憾無くその魅力を発揮した。

ドラマが始まれば、回を重ねるごとに彼は成長した。

放送開始前の批判など、平野くんのポテンシャルの前には力を持たなかった。

彼がどんどんと世に認知され、評価され、愛されていく様に、勇気を得た。

私も頑張れば、その努力はきっと結実する。

 

先行してラジオで流れた"シンデレラガール"を繰り返し繰り返し聴きながら試験勉強に勤しんだ。

無限ループでBGMとして流しながら、何百ページにも及ぶ問題集と向き合った。

華やかな「始まり」を感じさせるその旋律は、「いつになってもいくつになっても」と未来を感じさせるその歌詞は、私に勇気を与えてくれた。

 

そして、デビュー日を迎えた。

 

程なくして、私は筆記試験最終日を迎えた。

試験当日の会場に向かう道中、ひたすらにシンデレラガールを聞いた。

King&Princeの歌声が、背中を押してくれた。

 

面接にも向かった。周りとは違うフィールドを選択したため情報も少なく、かなりしんどかった。

辛くなり弱音を吐くと、母は平野くんの写真を送ってきた。

電話で八つ当たりをするとすぐに、平野くんの最新の話題をLINEで振ってきて機嫌を取ろうとしてきた。

両親に頭が上がらないのはもちろんの事、平野くんという存在は私な中でもはや精神安定剤と化していたということであろう。

 

すると、面接練習のつもりで受けていた大手企業の採用選考で、どんどん駒を進めた。

初めは苦手意識を持っていた面接も、回を追うごとにスムーズにこなせるようになっていっているのが自分でもわかった。

そして、気づいたときには内定にたどり着いた。ラッキーとしか言いようがなかったが、心が跳ねた。

ここから一気に私の就活は軌道に乗った。

 

一方の平野くんも、ドラマの回を重ねるごとにみるみる演技が上達していった。

SNS上の反応も、初めは否定的だったものがどんどん好評へと転じていった。

 

ハイタッチ会にも幸運にも参加することができた。

「デビューしてくれてありがとう」

とだけ伝えたかったのだが、ハイタッチも最終回の最後の方だったために、非常に憔悴仕切っている様子で

少し首を傾けながら微笑みかけてくれて終わった。

聞こえていなかったかもしれない、とは思いつつも

平野紫耀というスターを目の前にした上に、直接的にふれ、目を合わせていられる時間が与えられた幸せを噛み締めた。

そしてこれを、自身のエネルギーに変えなければ、と。

 

その数日後に、筆記試験の結果が出た。

無事に通過していた。

ホッとすると同時に、気を引き締めた。ここからの面接が本番だ。

 

 

面接は2週間にわたって実施された。

どこでどのように評価されているかもわからない。

ほとんど丸一日拘束され続けた。

最終面接日の朝。人生で5本の指に入るほどに緊張していた。

イヤホンをつけて、iTunesを立ち上げて。

君はシンデレラガール My precious one 

You're the only flowering herione.

歌い出しの平野くんと同じタイミングで息を吸い込み、私は、人生をかけた大一番へと足を踏み出した。

 

そしてついに、

第一志望の職場から内々定を獲得した。

半年にも及ぶ長い就職活動にやっと、決着がついたのだ。

 

Alrightに励まされ、デビューに勇気付けられ、花のち晴れに背中を押された、そんな就職活動であった。

平野くんの存在がなければ、彼らの活躍なくして、夢を持つことも叶えることもできなかった。

感謝してもしきれない。

 

まだ私は、やっとスタートラインへのチケットを手にしたにすぎない。

ここからが始まりだ。

彼らがデビューを果たし、世に羽ばたき始めたのと同様に、私の社会活動の一環はこれからやっと始まるのだ。

 

不安も尽きないが、今は楽しみでならない。

もちろん、苦しい時もあるだろう。

でも、きっと大丈夫。

アイドルに支えられ、時には支えながら。

 

彼らの活躍に心躍らせながら。

私の人生もまた、より充実したものとしていきたいと。そう願うのだ。